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2011年3月29日 (火)

マクロとミクロ その両方の視点から  世界1月号の原子力特集を読んで

知識や情報は、自然と入って来るものと、得ようとしなければ得られないものがある。
しかし、人間が選択するときには、もちろんそこにある判断材料から判断して、
いつもそこには未知なるものが存在している。

いま東京にいると被災地の様子が様々な形で伝わってくるが、そこにはたとえば
あまりにもひどい惨状は伝わらないのだけど、

一方、被災地から考えると世界で何が起きているか意識しないままに、
自治会の役員とか、避難所のトイレ掃除の当番など、その毎日を必死に使命感をもって
過ごされている方々がいる。

情報をもてあまし何もできない状況と、大きな使命感ゆえに情報が耳に入らない状況。
この2つに大きなもどかしさを感じます。そのことに気づかせてくれたのは、手元にあった
岩波書店の世界1月号「原子力復興という危険な夢」です。

この事故の前に、偶然このような特集が組まれていたのですが、そこには、いま起きて
いることの構図そのものが書かれているように思いました。


ここでは、世界のエネルギー政策において、原子力の比重が小さくなっていることや
日本が世界に原子力をセールスする姿、その商談において相手国から出された要求の
詳細とその意味。

世界において専門的領域に対応できる官僚や政治家がいないことからくる悲劇など、
いま問われていることが多く書かれていて

また、住民避難をされている福島県双葉町の様子。双葉町では、原子力発電所が
もたらした富をただ施設に使うのではなく、当初は図書館を作るなど文教政策に力を
入れようとしていたそうです。それでも、隣町と同じ施設が欲しいといった形での
住民からの要求はあり、結果的に施設の維持に費用がかさみ、財政難も経験。
現在の井戸川克隆町長が、自らの給与の手取りをゼロにしたり、今でも60%カット
とのことですが、このほか職員の期末手当のカットなど、様々な努力をして、
発電所からも距離をおきながら財政再建を果たしていく、そうした中での事故で
あったことを知りました。

マクロとミクロ、その両方の視点で どの立ち位置からも全体をみる
また、そうした情報へのアクセスを被災地にも整えていく
こうした配慮が、復興に対しても大きな活力をはぐくむのではないかと思います。

トレンドを作る、見せ方だけが上手い大学教授をいたずらに用いるのではなくて、
これは被災地と発電所の模型だけで番組を作ってしまうテレビと同じレベルです。

(ダボス会議で言霊プレゼンテーションなるものを伝授したとつぶやいている
 方ですが・・・きっとこれからの首相会見にはスクリーンが用意されるかも
 しれません)

あらゆる情報やこれまでの政策決定プロセスを公に開示し、その上で
しっかりとした議論を作っていくこと

生活に追われている被災者や避難されている住民の方にも、しっかりと
その席についていただけるようにしていくことが大切なように思います

どうしても弱い立場になってしまう方々が、最後、これは原子力発電所が建設
された当時のように、札束でほっぺたをたたかれるような、何か施設に依存しなくては
生活が成り立たないような、そのような復興を押しつけてはいけません。

そして、その実現のためには、我々ひとりひとりが本物のジャーナリズムを通じて、
各種の情報を得て、そこから選択していくこと必要です。その選択が将来の選択への
繋がる、とても大切な一歩です。

もし、政権交代ということの本当の価値があるとするならば、
従来からの産業界と政治のつながりが、適度に絶たれていることで緊張が生まれ、
有権者も補助金に頼らない自立への道を模索していく強さをもたらしてくれる
可能性があるということではないかと思います。

もとにもどすのではなくて、ぜひ、新しいステップを
自らが踏み出したと、そのことを感じられるような復興をと願わずにはいられません。

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コメント

お久しぶりです。最初に読んだ時、文章が素晴らしいと思いました。人の気持ちが不安定な昨今に、正しい気持ちを自分と相手に伝えるのは相当難しいものだと思っていたところだったもので。あらためて本物の言論が求められてると思いました。

こんなの堂 さま

コメントありがとうございます
私のようなものが 何かをつづっても と思う反面
何か書き残さなければという思いにもかられる
できごとが起きていることを とても不幸と思います

一方で、遠くの空爆への感性は実は疎い。

それが、いいことなのか、悪いことなのか
それすらも判断はできないのですが、それでもやはり
感じることがとても大切かと思います。

いつもご覧いただきありがとうございます。
取り急ぎ御礼まで

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