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2010年9月26日 (日)

菊とポケモン

アン・アリスン著 「菊とポケモン」


原書名は

MILLENNIAL MONSTERS
JAPANESE TOYS
AND THE GLOBAL
IMAGINATION


この本、切り口によって さまざまに読めると思いますが
息子以上にポケモンのことを知らない僕としては
そもそも ポケモンのルールについて学びとなってみたり

セーラームーンやたまごっちなど
子供時代にブームを体験したものを 改めてなるほどと
感じるという

目的外の効用もあるのだけど

ファンタジーの誕生の背景に社会的な問題が多数含まれて
いることの指摘を受けて 戸惑ったりもしている。
以下に少し本文を抜粋してメモに。


本書より
--------------------------------------------------
(本書序文より)
高度なテクノロジーを発展させた資本主義社会では、人々は
居場所と共同体を失い、親と過去から切り離された疎外感に
悩まされる。そこで人々は「友だちのような」マンガやおもちゃ
やアニメのキャラクターを求め、またこういったキャラクターの
イメージを満載している商品を通してアイデンティを得る。

日本の子供たちのファンタジーはテクノロジー的表象によって
謎めいて見える。その表象の手法は、20世紀初期に米国や
欧州で人気があった電車、組み立て式おもちゃや科学セット
のような単純なものではない。機械にテクノ-アニミズム、
つまり機械そのものに個性や、精霊崇拝的な特性を吹き込む
という手法である。

西欧の子供たちは日本の想像の産物を、「異質」で「クール」
だから受け入れているだけでなく、ポストモダンの時代に
彼らが感じているストレスを解消し、願望をかねえてくれ、
時代にどう対応したらいいか教えてくれるから飛びついて
いるのだ。

米国人は大衆文化においても、また政治、経済、軍事力
においても世界の覇権を握ることに長く慣れてきたために、
グローバルに普及する想像の世界が脱中心化されている
ことをなかなか受け入れようとしない。(略)
だが、それに対して日本人は、現代人が抱えている
フラストレーションをとらえ、魔法の国のノスタルジーと
夢を超えた世界への希求を、多様変容とテクノ‐アニミズム
のたえず変化するファンタジーで満たしている。それが
まさにミレニアル・モンスターの世界なのである。
--------------------------------------------------

◆テクノ-アニミズム
日本のファンタジー世界は、なじんできた形がいったんすべて
崩されて、新たにハイブリッドとして組み立て直され、多種多様で
交換可能な(機械の/有機体の/人間の)部品や部位の
ブリコラージュによって成り立っている。
<略>
日本のファンタジーにはあらゆるものが境界を越えて入り混じって
いるだけでなく、テクノロジーがあらゆる類の生命活動を組み立てる
ための鍵となる要素となっている。
<略>
テクノ-アニズムは商品コンシューマリズムによる世俗的習慣に
深く根ざした一つのスタイルである。ファンタジー世界にもう一回
魔法をかけて、日常生活をより魅力的にするテクノ-アニミズムは、
娯楽を象徴(目的)とし、日常のストレスを発散し、親密さや友情の
あたたかさを感じさせる商品と結びついた消費者資本主義を
再生産する。多様変容とテクニ‐アニミズムがここで合体する。

--------------------------------------------------
高まる「孤立主義」の時代にあって、人々は仲間を求めている
と言われるが、皮肉なことにその欲求を満たすのはまたもや
孤立を促す商品だ。

--------------------------------------------------
クリエイター 田尻智 と 任天堂 間の 作成過程
※記載略

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さて、読後の感想としては
我々は意識せずに ずいぶん大きなモンスターを手にして
しまったなあ と思うし そこに至る経緯は必然であり、
また緻密な構想に基づくものであり、すごいと思った。

日本の子供たちが グローバルな活動を始めるころには
世界の人たちと 子供の時のポケモンで話は盛り上がる
でしょうし、そうやって世界も身近になるのだろう。

聖書や経典ではなくて、アニメが人々を救うかもしれない
そう思えることは とても不思議だけど まんざら
嘘とも言えないのではないか、そんなことを思った。

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