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2008年1月 1日 (火)

雨ニモマケズ

3歳の息子が、「雨ニモマケズ」の
フレーズだけを笑顔で口ざすむ。
教育テレビの「日本語であそぼ」の
影響なのだけれども、有名作品の
出だしがわかるのだから、頼もしく
感じるが、一方で少し複雑な思い
にもなる。

僕がこの詩に出会ったのは小学生
のとき。クラスに、順番で、詩を探
してきて、それを朗読する時間が
あって、その順番はまわってきた
ときに、家の本棚にあった、賢治の
詩集から自分で発見したのが、
この詩だった。

その時の僕は、こんな生き方が
できればとすごく感動したし、
おそらく、自分の稚拙な判断にも
少なからず影響を与え続けていて
くれる。

そんなふうに思うとき、息子が
笑いながら「雨ニモマケズ~」と
いってはしゃいでいる姿をみると
どうも複雑な心境になるのだ。

もちろん、年齢に応じた作品
との出会いはこれからある
だろうし、たとえば、ミルトンの
失楽園を徹底的に暗記させる
ような教育もあるというから、
同じように、詩でも古典でも
覚えさせてもいいのかもしれない。

ただ、将来はこうであろうと
確かなことがいえない子育てを
している身からすれば、
言葉と意味がある程度はそぐう
形で、その時々に受けとめて
もらいたいと思う。

そう考えたときに、賢治の
あの詩は、とても伝えがたい
ことが多いように思うのだ。
これも無常といわれれば
そうかもしれないが。

そんなことで、これまでの
月日を振り返り思うことは、
自身の価値観として、人生
の価値は何かと問われれば、

僕は、人の心に何を刻むこと
ができたかではないかと思う。

自覚しているもの、そうで
ないもの

いい刻み方ができたもの、
そうではないもの

ひと息すれば、はいた分の
影響はあるだろうに、その微細
に気づくほどの感性も持ち合わ
せずに、そんなことを思う。

さてさて、息子に娘に、また
大切な人の心に何を刻みのこし
ていけるのだろう。

思いながら 迷いながら
静かに歩む日々がまた始まる。


雨ニモマケズ(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45630_23908.html


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コメント

この詩はなんど読んでも飽きません。

小学校の玄関に、先輩が卒業制作で作成したおおきな「雨ニモマケズ」のプレートがありました。
下校時によくぼおっと眺めていました。
妙にさびしい気持ちになるのがおもしろく、
飽きずに何度でもぼおっと眺めてるのが好きでした。

>南ニ死ニサウナ人アレバ
>行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ

こういう言葉をカタカナ交じりで語られると
なんともたまらない。

>ミンナニデクノボートヨバレ
>ホメラレモセズ
>クニモサレズ
>サウイフモノニ
>ワタシハナリタイ

他人から苛められ、馬鹿にされて、
そして死んじゃうんだなあと思い、
最後には泣いちゃうんです。

だいたいこの人の話って
死にそうな話ばっかりですよね。

コメントありがとうございます。
思えば、賢治の短い生涯の中で、
こうしたものを残していくわけですから
スゴイナと思っております。

もちろん、現代の作家だって
しばらくすれば同様に残っていくものは
あると思いますが。

一方、それに比べて、自身が何を残して
いるのか、それが課題のように思って
おります。

これからも よろしくお願いいたします。

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